日記(10月の覚え書)
■10月某日
何度目かのブルーベリージャム作り。
冷凍しておいた実家のブルーベリー200グラム。
砂糖は甜菜糖で70グラム。
レモン汁適当。
ポテトマッシャーでこれまた適当に潰して火にかける。
あくを取りながら煮る。
煮過ぎると香りが飛ぶので、まだブルーベリーシロップだね、
くらいの緩さで火を止める。
これがおいしかった。冷凍したせいで皮からあくが抜けて、
香り高く仕上がった。これからブルーベリージャムは冷凍だな。
■10月某日
昼過ぎにリーガロイヤルで打ち合わせと称してお茶する。
研究室に帰ってまだ積み上げてある段ボールを整理する。
まだあと何箱あるんだよー。もうやだー。
6時から大学で会議。
会議弁当をいただきながら3時間かかりました。
■10月某日
なんかこのところ気分が落ち込んでいる。
自分では仕事がはかどらないせいか、と思っていたのだが、
同僚に「更年期の始まりじゃない?」と言われた。
そっか、そうかもな、と思い当たり、
そろそろサプリメントなぞ始めるか、と思う。
マイミクのおねいさま方によればセントジョーンズワートという
ハーブのサプリが利くらしいので、とりあえず一瓶購入。
まだ飲み始めてはいないけど。
また一つお仕事を断る。小さなものだが学会関連のお仕事だ。
なんかどんどん学会から遠ざかっていくなあ、私。
■10月某日
モデムの調子悪し。つながらない。ネットにつながらない。
もう気が狂いそうである。
半べそかいてヤフーのおねーさんに電話。
結局モデムを交換することになった。
それまでメールは携帯で見るしかない。
どうしても返信しなきゃならないものには、
大学まででかけていって返信する。
レタスと水菜ののりサラダ、さつまいものきんぴら、出しガラ昆布の佃煮、
雑穀いり玄米のご飯、かぼちゃと玉ねぎのみそ汁で、
ベジテリアンのお昼ご飯。
これで高脂血症なのよ、笑うでしょ。
■10月某日
中野重治の伝記を数冊読む。
頭はいい人で、フィクサーとしての能力に長けている。
小説それ自体に私はあまり魅力を感じないが、
執拗に自分の書き物に自己言及をする人で、
そこのところは私が密かにおもしろしと思っている部分である。
私が中野についてどう書くかはまだまったく見えてこない。
なんとなく集中できないので、外に出て、
東京理科大近くのスタバで読み続ける。
晩ご飯は、最近凝ってるひよこ豆料理、ファラフェル。
蒸したキャベツにドレッシングを合えたものをつけ合わせたら、
もうお肉なんかいらない。
■10月某日
久しぶりに演劇鑑賞。るんるん。井上ひさし「組曲『虐殺』」@銀河劇場。
小林多喜二役に井上芳雄、この人の歌唱力は前の作品で確認済みなので、
安心して聴いていられる。
多喜二の恋人役に石原さとみ。お人形さんのように可愛く、
演技も拙いがそれが魅力という役どころである。
井上芝居にはかならず笑いで緊張感を抜く役が用意されていて、
梅沢昌代さんのような芸達者がそこを担っているのだが、
今回はそこを高畑淳子が、抜群の安定感と存在感、
笑いの間も人生のツボも心得た芸と技で演じ切っている。
陰の主役はでずっぱりの小曽根真で、役者たちとの息もぴったりである。
役者は優秀、脚本も演出もレベルは高い。
喜劇的要素と悲劇的要素の塩梅もいつもながら上手である。
細部も勉強になった。
でも。
でも。
肝心のところでものすごくずれているという感じは否めない。
小林多喜二の情熱が、正しいチャネルを通って、正しく発露されているのだ、
という確信はいったいどこからやって来るのか。
ここで描かれる多喜二には自分の敵(国家権力!)が明瞭に見えており、
それと闘う方法すら恐るべきシステマティックさで事前に整備されている。
(ハウスキーパー制度然り、ビラまき然り、文学然りーー)
敵が既に主体化されているから、闘う主体化がなんなく成立してしまっている。
私は秋葉原の彼を思いだしていた。
彼に敵の姿は見えていなかったはずなのだ。
むろんそれは彼が頭が悪いからではない。
敵の名指しにくさと彼の犯行の形態は間違いなく関連している。
ところがこの芝居には「敵の名指しにくさ」などははなから存在していない。
そのことこそがもしかしたら最大の敵なのかもしれないのに。
「組曲虐殺」の多喜二は周りの人たちのみならず、敵からも愛される人である。
もうこの段階で「認知」の問題はクリアしてしまっている。
マイノリティを言い立ててアイデンティティを立てることも、
敵を作って抵抗する主体のアイデンティティを立てることもできないから、
「認知」されない暗闇に沈んでしまう。
その状況に対してはこの作品はなにも言っていない、
言おうとしていないと思うのである。
今なぜ小林多喜二?と問うとき、それでいいのだろうか、
と思うのである。
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