研究

March 07, 2011

Uncool な Japanology のワークショップ その2


ところで我々のワークショップがuncoolなのは、
漫画もアニメもゲームも登場せず、
かといって大江も川端も登場せず、
もう誰も読まないような占領期の批評なぞをちまちま
読んでいるからである。

さらに読んでいるだけでなく、さらにちまちま
注釈したり翻訳したりしているからである。

しかしおそらく我々はこの「ちまちま」に自分たちのfaithを
置いている。だが同時にこれがuncoolであることも知っている。
居直り強盗じゃないけど、ここから始めるしかないじゃない、と
少なくとも私は思っている。
今の時代、uncoolでいられるのはluxuryかもしれない。


というわけで、私が発表のトップバッター。
今日の焦点は戦後直後の『思想の科学』である。
次にJim Dorseyが小田切秀雄と『文学時標』、
つぎにDoug Slymakerが加藤周一とねじれた日本のアイデンティティで発表。
そしてRich Callichmannが3人の発表にコメントを。

再びマイクが回ってきて、コメントにコメントを。
会場からも質問が飛ぶ。発表者と質問者の距離も近いので、
比較的なごやかに進んだと思う。


ようやく壇を降り、2つ目のパネルが始まったところで、
もうとうとういけなくなった。
少し中座して風邪薬を流し込んだ。
結局Justin Jestyの花田ー吉本論争の部分と、
Atsuko Uedaのコメントが聞けただけとなってしまった。
すみません、二つ目のパネルの方々。


夕食を終えてホテルに帰ると、ほとんど倒れるように就寝。

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February 15, 2011

告知しまっす


昨年の3月にプリンストンでやったワークショップは、
同年の7月に早稲田で継続し、そして今度シカゴでの開催となった。

Rethinking Hihyo: The Politics of Literature and the Literature of Politics in Early Postwar Japan
http://lucian.uchicago.edu/blogs/rethinkinghihyo/

主催者の努力があって、なかなか厚みのある参加メンバーの顔ぶれ。
聴きごたえはあると確信している。
大学院生を中心に進めている翻訳・注釈ワークショップも三回目になって、
かなり充実してきた。

(いっちばん問題なんはアタシの発表や...ううう...パワポ)


Ann Arbor在住の方々、University of Michigan の Center for Japanese Studies
Noon Lecture Seriesでトークやります。
2月24日、来週でーす。
よろしければCenter for Japanese Studiesまでいらしておくれやす。
http://www.lsa.umich.edu/cjs/eventsprograms/noon


Indiana 近辺在住の方々、2カ所でトークやります。
3月8日にまず Earlham College で。
留学しているSILS生いたら、遊びに来てねん。

ここは私の生まれ故郷。そしてSILSの前身「国際部」の生まれた場所。
もう40年以上も前のこと。
私のトークは Jackson Bailey Memorial Lecture Series のうちの一つだが、
このBaileyさんが早稲田と交渉して「国際部」を誕生させたのである。
それを影で手伝ったのがウチの父ちゃん。
そしてその父ちゃんは当時新婚さんで、とっても可愛い赤ちゃんに恵まれたのだ。
それが、アタシ。

3月9日にはEarlham から Indianaに移動して、
3月10日にIndiana University の East Asian Studies Centerでトーク。
場所はそれぞれの大学で検索かけてねん。


実はもう一カ所、なんとテネシーで。
大学3年の頃、一度だけナッシュビルに遊びにいったことがある。
でもさすがにここに知り合いはいないだろうな。。。


というわけで、あと一週間で出国しますぜ。
それまで必死で原稿書いてパワポ作ります。
指が痙攣する〜

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August 13, 2010

告知ふたつ

Iichiko(No.107, 2010年秋)の太宰治特集に「<人間失格>ノートーー名作小説の漫画を読んでみる」を書きました。『まんがで読破』シリーズの第一弾である『人間失格』の漫画化を「翻訳」と考えて、「原文」と比較考察をしたものです。自分としてはいろいろ不満なところもありますが、漫画のテクスト分析はなかなかスリリングではあり、いわゆる小説テクストの分析手法を対象化する契機の一つになりました。(あ、でも漫画論ではありません。)

出版社の都合で何年も待たされた"The Linguistic Turn in Contemporary Japanese Literary Studies--Politics, Language, Textuality"がUniversity of Michigan Pressから出版されました。ようやく、ようやくです。2003年にUCLAで開催されたシンポジュームに参加したメンバーによる翻訳と論文集、邦題をつけるとすれば「現代日本文学研究における言語論的展開」という感じでしょうか。第7章の "Tactics of the Universal: 'Language' in Yoshimoto Taka'aki"を書いています。 あんまり昔に書いたものでもう内容は忘れかけています...序論は、編者マイケル・ボーダッシュ氏。「こころ」論争を参照点の一つとした日本近代文学研究の「言語論的展開」についての序章です。前半は野口武彦、亀井秀雄、平田由美、三谷邦明諸氏の論考の翻訳、後半は論文。亀井秀雄さん、紅野謙介さん、ノーマ・フィールドさん他多数の方が論文を寄せられています。

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March 14, 2010

続・日本近代文学会をWeb中継する件


以前、このブログで「日本近代文学会」の大会をWeb中継(Ustreamというらしい)
すればいい、と書いたところ、けっこう反響があった。
諸手をあげて賛同して下さった方、
それではリアルで学会に行く人がいなくなってしまうと反対された方、
Ustreamはできるかもしれないが、Twitterとの連動は無理だろうと
ご指摘くださった方。

どのご意見もなるほどなあ、と思い、乗り越えねばならないハードルは
高そうだと思っていたのだが、
私のブログを見てくださっていたのか、それとも考えることはみな同じなのか、
新しい進展がいくつかあった。

まず3月8日に名古屋大学の日本近現代文化研究センターで、
国際日本文化研究センターの細川周平氏の講演がUstream中継された。
そして今日、日本近代文学会の東海支部のシンポジュームも、
Ustream中継されたのである。

細川氏の講演の方は、私のスクリーン上でも常時30名を超える視聴者がおり、
海外からの視聴もあったと後で聞いた。
Twitter上で私も質問させていただき、それはすぐ会場に繋がれたのだが、
私はもともと人前で喋るのが苦手で、学会でまず質問などしない。
それがTwitter上ではいの一番に書き込んでしまった。
やはり、私のような人間にはこうした視聴の仕方は合っている。

しかし、あまり人が来なくなっている学会に、
これではますます人が来ないではないか。
聴衆のいない会場でカメラに向かって一人しゃべる、なんていう発表に
なってしまうではないか、というお叱りの声も聞こえてくる。
私もそれはよろしくない、と思う。
Ustreamは人の現実的なコンタクトを妨げてしまうのだろうか。


いやいや、Ustreamを使ったリアル学会の盛り上げ方もあるはずだ。
実はUstreamは、大きなイベントを発信するよりも、
小さなイベントを発信するのにこそ向いている。
例えば、こんなのはどうだろう。

学会にはいつもテーマがある。
シンポジュームの登壇者は限られているけれど、
テーマに関心を持っている人は若手にもシニアにも大勢いるわけで、
その人たちが数人学会の前日に集まり、
そのテーマに期待することを語り合う。

院生や若手が集まって、テーマをいじり倒すのもよし、
登壇者の方々のお仕事を踏まえて期待を語るもよし。
Twitterで事前にこういうことを聞いてみたい、という質問を
募ってそれについて語り合うもよし。
シニアの先生を囲んで院生若手が行うもよし。
ルールは一つ。「個人的な中傷はしない」こと。
あくまで、事前に学会を盛り上げ、生産的にするのが目的だ。


つまり、一種の前夜祭である。
祇園祭で言えば、「宵々山」「宵山」で盛り上がって
「山鉾巡行」のクライマックスがあるように、
学会も「宵々山」「宵山」をやるのである。

必ずしも会場を作って大掛かりなものをする必要なし。
最小催行人数は2〜3人の有志だし、
顔が映るのが嫌なら、Ustreamは音声だけでもできる。
機材さえあれば、ウチのキッチンでお茶飲みながらやったっていいのである。

まあ、これはちょっと極端だけれど、
地方の学会なら、一日前乗りして現地でやってもよし、
一週間ほど前に各地でやり、今度は現地で結集して「あとの祭り」。

どんなもんでしょ?
どなたか、若手の方、試してごらんになりません?
(いつも、煽るばっかりで申し訳ない・・・)

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February 10, 2010

再び告知(別件)

3月24日に米国プリンストン大学で、ワークショップを開催します。
「“批評”を再考するーー戦後文学批評を中心に」
英語のタイトルではPostwar Literary Criticism and Beyondと、
beyondが入っておりますが、それは「批評」という日本語特殊の分野について
歴史的に考えることで現在の批評のあり方も視野に入れて考えたい、
という我々のambitionを示しています。

近郊におられる方、
25日から28日にPhiladelphiaで行われるAssociation of Asian Studiesの
Annual Meetingに出席予定の方、
少し足を伸ばしてPrincetonにいらっしゃいませんか。

まだ始まったばかりの日米共同研究ですが、
いろいろな方向に動いていきそうな予感がしています。
コメンテーターとして、戦後文芸批評の大家Victor Koschmann氏と、
竹内好の翻訳者Rich Calichman氏にもご参加いただきます。

また、午後には院生と発表者、コメンテーター入り交じって、
<翻訳>という切り口から戦後直後の文学についての批評言説について考えます。

出席ご希望の方はオーガナイザー(Professor Atsuko Ueda: aueda@princeton.EDU)までご一報ください。
日本語でも英語でもOKです。


A Workshop on “Rethinking ‘Hihyō’: Postwar Literary Criticism and Beyond”

March 24, 2010
202 Jones Hall
Princeton University

Engaging with a period and place where literature was constitutive of the national reconstruction process, this workshop will address one of the most important topics of postwar Japan, the (re)construction of selfhood and war responsibility, with a specific focus on the role that literary criticism (bungei hihyō) played in these discussions. Literary criticism in Japan long existed as a unique genre in which social, cultural, and philosophical discussions took place via the “literary.” Using this discursive tradition to its full potential, postwar literary critics questioned the basic tenets of human existence at the historical moment when Japan had to rebuild itself.

Specifically, we will examine the famous debates between members of Kindai Bungaku (Modern Literature) and Shin Nihon Bungaku (New Japanese Literature) which took place in the immediate years after the war. Dubbed as “seiji to bungaku ronsō” (debates on politics and literature), the debate involved critics such as Hirano Ken, Ara Masahito, Odagiri Hideo, and Nakano Shigeharu who questioned war responsibility of intellectuals and ultimately the role of the “literary” in the reconstruction of postwar Japan. The issue of war responsibility has been a topic of great interest for many in the last two decades or so, but a few have focused specifically on the role of the “literature” and the shifting boundaries of the “literary” constitutive of the debates, which we seek to do by foregrounding the genre of literary criticism. Such an inquiry is inevitably global, as postwar literary criticism engages with the reality of the occupation inextricably linked to the new world order of the Cold War that enveloped East Asia.


9:00 Welcoming Remarks

9:15-12:00 Morning Session Paper presentations

“The ‘Politics and Literature Debate’ in a Global Context: Preliminary Thoughts on the Rise of Cold War Cultures” Michael Bourdaghs (University of Chicago)

“Sengo hihyō no bungakuba—Nakano Shigeharu o shiza nishite” Richi Sakakibara (Waseda University) presentation in Japanese

“Senryō toiu kisei—sengo bungaku saikentō no shiza” Hirokazu Toeda (Waseda University) presentation in Japanese

12:00-1:00 Lunch

1:00-2:20 Afternoon Session
Comments by discussants Victor Koschmann (Cornell University) and Rich Calichman (City University of New York) and open discussion

2:20-2:30 Coffee Break

2:30-5:30 Translation workshop led by Atsuko Ueda (Princeton University)

Participants:
Shiono Kaori (Waseda University), Takano Mariko (Waseda University), Joshua Solomon (University of Chicago), Junko Yamazaki (University of Chicago), Noriko Yamaguchi (University of Chicago), Young-ah Chung (Princeton University), William Bridges (Princeton University), Kjell Ericson (Princeton University).


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January 29, 2010

コクチで失礼

解説を書きました。
『占領期雑誌資料大系 文学編II 表現される戦争と占領』 岩波書店

私は収録小説の解説、
対談座談会の解説はフランス国立東洋言語文化大学のアンヌ・バヤール=坂井さん、
評論エッセイの解説はコロンビア大学の鈴木登美さん。
この第二巻の総合解説および編集は早稲田大学の十重田裕一さんです。

学術書の体裁で、ちいとお高いですので、
皆さんに買ってくださいというのは難しいのですが、
大型書店などで見かけられましたらパラパラとご覧になってみてください。

アメリカのメリーランド大学のプランゲ文庫には、
占領期にGHQが検閲した膨大な資料が残っています。
削除すべき文章の上に引かれた無造作な線が残る、
極めてなまなましい資料です。

それをもとに有名/無名を問わず、おもしろい問題を含んでいそうな小説や
エッセイ、対談、座談会などが収録されています。
すべてが検閲された後が残るもので、削除部分は復元されています。

敗戦後数年間。
自由が謳歌された時代でもあり、制限された時代でもあった。
この両義的な時代は今でも私を惹き付けてやみません。

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