基礎演習関連

March 31, 2007

基礎演習日本語シラバス


榊原の基礎演習を履修することを考えている皆さん、
<ことば>ノートへようこそ。

私のプロフィールは、
左のコラムのAboutのところをクリックしていただければ見ることができます。
写真は入っていないけど、ジツブツは見てのお楽しみってことで。

(別に楽しみにされるほどの顔じゃあ、ございませんけどね。)


大学に入ってすぐの学期という一番大切な時期に、
皆さんと時間を過ごせることを非常に楽しみにしています。
この15回の授業を通して、私は皆さんに「大学で勉強するということ」の、
flavorのようなものをお伝えできればいいなと思っています。


私の専門は「文学」という学問の種類なので、
授業ではその分野での勉強の形を味わっていただくことになります。
でも、それはここで学んだことが他の分野で役に立たないというわけではない。
なぜなら、「文学」というのは、すべての人文学・社会科学の学問の基礎となる、
<ことば>の使われ方についての学問だからです。

「文学」がどんな風に<ことば>について私たちに教えてくれるのか、
それも授業が始まってからのお楽しみです。


この授業では、英語版シラバスにも挙げた作家たちの小説を読みます。
あまりfamiliarでない小説家もいるかもしれませんが、
5人とも<ことば>に関しては非常に優れた感覚と知性を持った表現者たちです。

この人たちの作品を読み、それをクラスメートたちと話し合い、
意見を出したり、人の意見を聴いたりしながら、
その作品がいったいどんな<ことば>への感覚を持って構成されているのか、
そこから私たちが何を学ぶことができるのか、を考えていきます。


皆さんには、表現者たちの作品を考察するだけでなく、
2週間に一度、自分でも<ことば>を使って表現をしていただきます。
あ、小説を書いてくれと言っているのではありませんよ。
みんなで読んだ小説について、自分なりの分析を書いてもらうのです。
書き方については、授業中に説明します。

そして最後にresearch paperを一つ書いてもらいます。
そのためのワークショップの時間も設けてありますから、
皆さんは2週間に一度の短い文章を書いていきながら、
最後の長いresearch paperに対して準備をしていくことになります。


<ことば>に興味を持っている人、
<ことば>について深く考えたいと思っている人、
小説や詩といった文学表現に興味を持っている人、
映画やお芝居やデザインや広告など<ことば>を使った表現に興味のある人。
こういう人たちが集まってくれれば、楽しい演習になると思います。


では、皆さん、4月9日にお会いしましょう!

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January 28, 2006

Spring 2006の授業について③

<基礎演習IIA>

(1)この基礎演習の目的は、ディスカッションやプレゼンテーション、アカデミックなリーディングやライティングの技術を向上させることにあります。でも、この授業は単なるstudy skillの授業ではありません。技術を学ぶという言い方には、ある種の受動的な姿勢が感じられますが、この授業では「テクストを読む」という作業一つとっても、積極性が求められます。

(2)授業は日本語で行われます。毎週の書く課題も、ターム・ペーパーも日本語です。したがって、知的な日本語を読み、書き、話す、という技術の向上が目的の一つです。

(3)課題は、シラバスに挙げたように、カント『永遠平和のために』、夏目漱石『こころ』、プラトン『ソクラテスの弁明』の三つです。どれも決して読みやすいテクストではありませんが、難しいテクストと格闘することを通して、皆さんはこの先勉強をしていく上での自身をつけ、またこういうテクストを読むための技術を身につけることができるでしょう。

読むことは、すべての知的活動の基本です。だって、我々は、友人から発せられる<ことば>を読み、テレビから発せられる<ことば>を読み、メールを読み、広告を読み、毎日を過ごしています。読む行為なしに、我々の日常生活は成り立たない。

そしてすべての読みは、自分自身が心の中に持っている価値観との対話です。ひとの<ことば>を丁寧に読むことによって、我々は自分たちの価値体系を問い直すことが可能になります。それがcritical thinkingの基本です。

(4)この授業の最終ゴールは、どのように人は<ことば>と関わり、どのように<ことば>を使いこなしていくのかを知ることです。カントも漱石もプラトンも、皆さんに<ことば>に関する重要な示唆を与えてくれると思います。

(5)少々、抽象的になりますが授業でとり扱うことがらを、次に挙げておきます。(ただし順不同です)
   
   我々はどのようにコミュニケーションしているのか
   <ことば>でコミュニケーションをするとはどういうことか
   <ことば>は何をするのか
   批判的思考のしかた
   批判的読書のしかた
   批判的文章の書きかた
   <ことば>の力を有効に使うために

(6)中級演習のところでも書きましたが、私の授業はライブ・イベントですから、授業に来なければ意味がありません。ペーパーだけ提出しても単位にはなりません。授業への出席と課題をこなすことが何よりも重要になります。

(7)<ことば>に関心を寄せる皆さんが、ライブに参加してくださることを楽しみにしています。

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April 03, 2005

基礎演習IIAの授業評価(続き)

■さて、授業評価の第二弾。基礎演習ⅡAのうち、77のクラスのコメントを挙げます。

(1)発言の機会について

もう少しdebateをやりたかった。
誰でも意見がいえる環境だった。
ディスカッション時間と先生のガイドの配分がちょうどよかった。「発言中はその人の話をきくこと」「途中で言えなくなってもいい」という「ルール」が最初にはっきりと提示され、それが守られていた。
難しかったけど積極的に参加しようという気持ちになったし、先生はどんな意見でもrejectしないのが良かった。
先生だけが話すのではなく、学生の発言を中心に授業が進められていたのがよかった。
授業中に発言する機会が多くあるので、ほかの生徒の考え方も多くきけてよかった。
先生が生徒一人ひとりの意見をとても尊重してくれていてよかった。うまく表現できない場合も、わかりやすい言葉で生徒全員に伝わるように言い換えるよう努めてくれていた。

(2)課題について

他のクラスに比べ宿題量が多いのでは?多くの雑なものを提出してしまうことが個人的にあったので、少ないながらも時間と労力が費やせる方が良い。
あえて言うならば、「コメントシート」にコメントをしてほしかったです。レポートがあんな悲惨なものになる前に・・・。
評価が厳しいけど、その分がんばろうと思いました。でも厳しい。
評価が厳しい。努力があまり認められず、結果ばかり評価されている気がする。
コメントシートの毎回提出と「ことばノート」の一ヶ月1回の提出は多かったと思う。
提出物/リーディングが多くて大変だった。もう少し一つの教材にかける時間を増やして欲しかった。
役にたつことをすごく学べたと思うけど、この授業だけに集中することもできないので、十分な時間がなかった。できればもっとやりたい。
先生の実力が発揮される本を選択してほしい。
Mid とFinal両方のpaperがきつい。
Mid-term paper が少し大変だった。教科書に沿った読み方というのがよく分かっていなかったので、正直何をどう書けばいいのかわからなかった。
Paperの形式が(仮説・検証型)が高度で難しかった。

(3)その他の点について

板書をもう少し丁寧にしてほしい。
私は、すごくこの授業を面白いと思い、もっと話をすすめたかったが、毎回時間がたりず中途半端に終わったような感じだったのが残念だった。
授業時間内でできることが少なかった気がする。(予習の範囲を半分も終わらなかったりなど)
メモと取るくせがついた。本を深く読むという習慣が身についた。(一言一句に注意すること、語り手が誰であるか。Etc.)本を読むとき、読む人によって解釈がまったく違うということを知る機会になった。
何よりも文の書き方や、学習への取り組み方が学べた。
提出したレポートなどについてもきちんとコメントをくれたので、自分がどこを改善すればよいかがわかってよかった。
大学で日本語のテクストをここまで細かく読む授業は他にないと思うので、とてもよかった。文章の書き方なども学ぶことができて貴重だったと思う。
先生に長い文章を丁寧にみてもらえることも自分にとって非常によかった。
言葉の大切さや、いろいろな形式の違い、論文を書くときの注意点などがわかってよかった。

■私の感想
     やはりこのクラスでも、課題の多さに批判が集中していますね。始める前のイメージとして、私自身がアメリカで受けたリベラル・アーツ教育があったので、かなりリーディングもライティングも多くなりました。学生が泣くほど読ませて、泣くほど書かせる。その代わり、教師も学生の書いたものにはすべて目を通し、できればコメントする。それから、成績の要となるterm paperについては、希望者には事前の添削およびアドヴァイスをする。このスタイルは、おそらくこれからもあまり変わらないと思います。でも、もちろん皆さんの意見は参考にはしますよ。
     メモを取るくせがついた、というコメントは嬉しかったですね。授業の中で口をすっぱくして言い続けていたことの一つに「メモを取れ」ということがありました。身体――頭じゃなくて――に染み付いた癖は一生モノです。大事にしてください。
     改善点として挙がっている「板書」ですが、これに関しては弁解いたしません。私は板書が下手です。自覚しております!ですから、学生さんは私の板書に頼らず、しゃべったことをメモに取るようになさってください。(いや、もちろん、私は私で努力もいたしますけども…)

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April 02, 2005

基礎演習IIAの授業評価

■先日、基礎演習IIAの授業評価が私に手渡されました。最後の授業でお話しておいたとおり、その結果をお知らせすることにします。全文をそのまま載せることはできませんので、ここに書くものは私の編集を経ています。ご了承ください。

■私が担当した二つの基礎演習IIAクラスで評価が大きく分かれたようです。76のクラスでは5項目において、点数がコース平均値を下回りました。平均値を下回った項目は、「宿題が適切に出されていた」「クラス人数は適正だった」「発表・発言の機会が十分にあった」「学生の積極性が促されていた」「Readingの能力がついた」です。その一方で、77のクラスについては、平均値より下回った項目は一つだけ、「発表・発言の機会が十分にあった」でした。ただし、これは平均値3.90に対して3.89ですので、ほとんど平均値だったと考えていいかと思っています。テクストも同じ、授業の基本理念も同じにやってきたつもりですが、これだけ差が出てしまうものなんだなあ、とちょっと腑に落ちない感じもしています。

■平均値を割った76のクラスの人たちからいただいたコメントを挙げておきましょう。

(1)クラスの人数/発言の機会について

クラスの人数はもう少し少ない方が発言しやすい。
もう少し学生同士のディスカッションをしたかった。
本について話し合う機会がたっぷりとあってよかった。
発言しやすい環境にあった。
先生は生徒の意見を絶対に「間違い」とは言わないので気楽に質問できる。
もっと先生の講義が聞きたい。

(2)宿題の量に関して

宿題が多くてつらい。
課題が少し多い。
課題をもう少し減らしてほしい。
課題が多いところ。仕方ないとはわかっているけど、大変きつい。
コメント・シートは毎回提出する必要はないと思う。
課題はそれなりにあるが、それが自分のためになっていることがわかるし、
レポートを書くにあたっても役にたっている。

(3)その他に関して「良かった点」

定期的に課題が出たので毎週本を読む習慣がついた。
メモの取り方、考え方など色々と思考力を伸ばすような配慮された指導によって、普段から考えることの大切さが学べた。
授業で読む本が、授業のために読む本というよりも自分の理解を深めるために読む本になっていったと思う。
できなくても読み深めようとする力がついた。
書くという習慣がつき始めた。
いい本にめぐりあえた。
ことばノートを提出してよいものをHPに掲示してくれるところ。自分のものがのるととてもやる気が出る。

(4)その他に関して「改善して欲しい点」

せっかくコメントシートを書いたり、しているのだから、一回の範囲を不完全燃焼で終わりたくない。時間的に無理だと思いますが・・・。
毎日何か物足りない感じがする。問題点を解決しないので、疑問点が残ったままでつまらない。

■私の感想
       このクラスの評価に関して、私が今、思っていることを少し述べましょう。このクラスに関しては、発言しやすかった、と感じている方が少なく、むしろもっと発言したかった、と感じている方が多かったようです。少人数に分けて議論してもらったり、発言を言下に否定することを避けたり、私なりに発言しやすい環境を作ったつもりだったのですが、あまり功を奏さなかったと結論づけざるを得ません。あまり「授業で発言する」という行動様式を持たない日本の教育環境において、発言しやすい環境を作ることは本当に至難の業です。教師として、もっと勉強します…
課題の量は少し多かったようですね。しかし、コメント・シートを毎回書いてきてもらうということは、授業における理解の深さに関係してくるので、ちょっと妥協するわけにはいきません。今回は他のクラスに比べて堅い本が多かったので、それも関係してるのかなあ。
       (4)にある「不完全燃焼」はかなり大切な点です。誤解を怖れずに言いますと、授業というものは、すべからく「不完全燃焼」なものです。「不完全」なところを推し進めるのが、term paperという機会であり、授業は推し進める「きっかけになれば成功」という感じでしょうか。しかし、いつも「不完全燃焼」では不満が残りますから、どこかである程度「よし、ここまではわかったぞ」というつもりにさせるのが、教師の腕だと言えるでしょう。今回は皆さんに「わからない」ということ、そのものをわかってほしくてその部分を強調しすぎたのかもしれませんね。これも私の腕不足の結果です。反省します…。

(この項、続く)

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March 15, 2005

私の基礎演習IAへの登録をする新一年生の皆さんへ

■日本語のcourse descriptionをこのブログに載せるお約束をしていましたが、日にちを間違えていて(というより、日にちの感覚がなくなってしまっていて)気づいたらこの金曜日には、新入生の登録締め切りではないですか!というわけで、あわてて書きました。まあ、こういうウカツなセンセイでございます。基礎演習の基本コンセプトは、昨年秋学期の基礎演習IIAを踏襲していますので、そちらも参考にしてください。

■今年も基礎演習のテーマは<ことば>です。我々は<ことば>を使ってコミュニケーションをしているだけではなく、<ことば>を使ってものごとを考えたり、社会問題を認識したり、恋愛したりしています。皆さんは将来ジャーナリストになりたい、とか、国連で働きたいとか、政治家になりたい、とかいろいろな夢を持っておられることでしょう。そしてこれらの職業は、どれも<ことば>を扱わずにはいられない職業です。逆に<ことば>を使わない職業なんて、ほとんどない、といっていいくらいです。我々はいったいどのように<ことば>を使い、<ことば>に使われているのか。<ことば>はどのような力を持っているのか。そんなことを考えていけたらいい、と思っています。

■授業ではまず内田義彦さんの『読書と社会科学』から始めます。この人は経済学者にしては稀有なことですが(経済学者の方、失礼!)<ことば>というものについての見識を持っていた人です。これから先、私たちが本を読んでいく際に大きな道しるべになってくれることでしょう。次に谷崎潤一郎という昔の作家の『陰影礼賛』を読みます。「日本」ということだけでなく、「日本語」という<ことば>にこだわりぬいた、これもまた稀有な作家です。

■次には水村美苗さんという現役の作家さんの『私小説from left to right』を読みます。英語まじりの日本語で横書きの小説を発表して、文学界の度肝を抜いた方です。帰国子女のはしりでもいらっしゃいますから、それで親近感を持つ人もいるかもしれません。最後はサイードの『知識人とはなにか』を読みます。サイードも<ことば>を使って自分を表象するときに何が起こるか、ということを、とことん考えた人です。

■<日本語>とはなにか、<英語>とはなにか、<日本人>とはなにか、<アジア人>とはなにか、<非西洋人>とはどういうことか、複数の言語を話すということはどういうことか、そして<ことば>とはなにか、我々はどのように<ことば>とかかわっていきているのか。<書く>とはどういう行為か、<読む>とはどういう行為か。考えなければならないことは、いっぱいあります。どれもこれも、今考えておいて無駄には絶対ならないことばかりだと思っています。

■質問のある人は、メールをください。出来る限りお答えしますから。知的刺激のある授業にしたいので、知的好奇心満載の方が来てくださることをのぞみます。また、センセイのウカツを許してくれる心の広い方をのぞみます。

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October 16, 2004

基礎演習IIA 講義補遺(1)

さて、基礎演習も第3回が終了しました。皆さんはどういう感想を持っているでしょうか。
中には、重箱の隅をつつくような授業だなあと思っている人もいるかもしれませんし、
いまひとつ先生の意図がつかめないと思っている人もいるかもしれませんね。
そこでここでは今月のテーマについて、語ってみました。

▲内田義彦を取り上げた、この10月のテーマその1は「本を読むとはどういうことか」ということになるでしょう。本を読むのがあまり好きではない人はもちろん、読書が趣味だという人も、今まで「本の読み方」を教えてもらったことはあまりないのではないでしょうか。

▲今までの3回の授業でうるさく言ってきたのは、とにかくテクスト(あなたの目の前にある文字群)に徹底的にこだわれ、ということでした。授業では、まず、作者が同じことを述べていると思われる部分(レジュメでは=記号で表現する)や、それと対立させられている考え(⇔記号)や、論旨の流れ(→記号)などを整理しました。この部分までが内田の言う「情報としての読み」です。このあたりは、皆さんが受験の現代文で使ってきた技術を、そのまま使っていくことができるでしょう。

▲しかし、大切なのはそのあとです。皆さんは授業開始までに自分が「!」と書き込んだ部分を検討して、「おもしろかったところ」として文章にまとめなくてはなりません。なぜ、どのようにおもしろかったのか、つまり、どこがどういうふうに自分の心のアンテナに触れてきたのか、その理由を探っていくのです。これはテクストを理解するというよりむしろ、「自分さがし」と言ったほうがいいかもしれない。テクストは、自分がどのような人間なのかを知る重要な手がかりをあたえてくれるからこそ、あだやおそろかに読んじゃいけないのです。

▲さらに、皆さんは本に書き込まれている「?」について、「わからなかったところ」という形でまとめていきますね。なぜ、どのようにわからなかったのか、どれくらい自分がわかろうとして努力したのか、を実際に人に説明することで自分が本当にわからないところが明確になってきます。これが内田のいう「つじつまの合わんこと」です。自分には論理矛盾に見える場所。次には、この部分をテクストの中で徹底的に「検証」することで、最終的には作者が陥っている落とし穴を見つけることができるようになる。これが本当の「批判」につながります。「検証」を経ていない「批判」は、ただの「印象」や「反応」ですし、それが書かれて公的に発表されるとなると、それは「中傷」になってしまう可能性があるものです。絶対にしないでください。(つづく)

040815reading1.jpg
線を引きながら読む

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October 01, 2004

線を引きながら本を読む

新学期が始まりました。
基礎演習の一年生も、新しく来た留学生たちも、
熱意と希望にあふれた顔がそろいました。

▲先日行った第一回の基礎演習。どうやら授業に参加しているほとんどの人が、ペンを持って線を引きながら読むという習慣を持っていないことが判明しました。この学期中に、ぜひこれを身につけていただきたいと思います。本につける線や書き込みは、他人が書いたテクストをあなた仕様にしていく工夫です。印をつけるまでは、そのテクストは他人の<ことば>ですが、それがあなたに読まれあなたが何かを感じた場所に印をつけていくことであなたの<ことば>になっていくのです。読み流すのではなく、テクストをあなたの「血肉」にするためには必要な作業です。

▲最初は、線を引くことから始めてください。ペンを手に持って「線を引かなきゃ!」と思いながら読むと、おのずとどこに引けばいいかがわかってくるはずです。次には、一読してわかりにくかったところには「?」、おもしろいと思ったところには「!」をつけましょう。これだけでも、このテクストは筆者の手から離れて、「あなた」の読みの記録になっています。筆者の<ことば>に耳を傾けるだけでなく、それを読んでいるあなた自身の<声>にも耳を澄まし、それをペンで自分の<ことば>として書き付けてください。

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September 04, 2004

私の基礎演習を受講することを考えている皆さんへ

講義要項上でこのブログを挙げておきましたので、
見に来てくれている学生さんもいらっしゃるかもしれません。
その人たちへのメッセージ。

▲ブログのプロフィールを見ていただくとわかるように、私の専門は日本近代文学です。しかし、この基礎演習で皆さんにいわゆる<文学>を教えるつもりはまったくありません。私は自分を<ことば>について考える学者であると、自己規定していきたいと思っています。

▲私たちは<ことば>に取り巻かれています。<ことば>によって、私たちはものを考えたり、コミュニケーションをしたり、しています。それだけではなく、<ことば>は私たちのものの見方それ自体の中に埋め込まれている、認識装置そのものなのです。演習では、そんな「認識装置」としての<ことば>に、気づいていってもらいたいと思っています。

▲たとえば、今、アメリカでは大統領選のキャンペーンが、真っ盛りですが、その様子をずっと観察してみてください。ブッシュとケリーの戦いが、まさに<ことば>と<ことば>の戦いだということがよくわかるでしょう。自分の身の回りで見たり聞いたりした<ことば>のありようを考えるのも、この演習の一部です。

▲演習では、内田義彦の『読書と社会科学』、カント『永遠平和のために』、プラトン『ソクラテスの弁明』、夏目漱石『こころ』を読んでいきます。なんだ、<文学>もやるんじゃん、と思う人もいるかもしれませんが、それは小説家という人たちが<ことば>にとても敏感である人(当たり前のことですが)なので、その人のものも読んでみよう、というくらいのものだと思っておいてください。

▲私が選んだこの4人のもの書きは、<ことば>に対してある特殊な思い入れがあり、それをそれぞれのやり方でとことんまで考えつくした人たちです。皆さんには、この4人とがっぷり四つに組んでもらいたい、そして<ことば>に対する意識を研ぎ澄ましていってもらいたい。

▲皆さんには、私の基礎演習の「志望理由書」を書いていただくことになります。先学期に一年生を教えていない私は、ほとんどの皆さんと一度も会ったことがありません。ですから、皆さんは「志望理由書」の中の<ことば>だけで、私に皆さんへの興味を起こさせなければならないわけです。皆さんの<ことば>との初対面、とても楽しみにしています。

▲質問がある方は、コメントの欄にどうぞ。このブログ上でお答えしていくことにします。こっそり聞きたいことがある人は、メールでどうぞ。

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